映画『ゴーストブック おばけずかん』で描かれる、大人を変える子供の力と逞しさ
2022年7月22日公開の『ゴーストブック おばけずかん』を観に行ってまいりましたよ。
予告が公開されるや否や、娘に「絶対に観に連れてって!!」と固い約束を交わしていたので、夏休みに入った娘と一緒に映画館へ行ってきました!
夏休みの思い出の1ページになれば、と思って、観に行ったわけなんですけれども、これはかつて「学校の怪談」シリーズの映画に思いを馳せていた、大人の私の心もがっちりと掴んで離さない映画でした。
斎藤洋さん作の大人気シリーズ図書『おばけずかん』(宮本えつよしさん・絵)
この映画は、子どもたちに大人気のシリーズ本で、講談社から30冊以上の作品が出されています。
私が今の小学生だったら、確実に全シリーズかじりついて読んでいたことでしょう。(笑)
斎藤洋さんの他の作品には、『ルドルフとイッパイアッテナ』などがあります。
おばけずかんは、個性豊かなおばけをポップでなじみやすいイラストで描かれていて、子どもの心を掴んで離さないのは、このお二人だからなせる業なのでしょうね。
『ゴーストブック おばけずかん』で描かれる”成長”
この映画は、3人の小学生が、もう一人の友達を助けるために祠に願い事をするところから始まる。
怪しい佇まいの古本屋から、お化け図鑑を手にした3人の小学生たちは、そのまま不思議な世界へと入り込んでしまう。
子どもだけではなく、臨時で代替の担任になった瑤子先生(新垣結衣さん)も一緒に、不思議な世界へと行ってしまった訳だが、、
果たして4人は友達を救えるのか。。
図鑑から与えられた試練を、子どもたちと大人一人で乗り越えていく中で描かれる成長が、また心をガチっと掴まれるので、終始目が離せない内容になっている。
「成長をするのは子供だけではない」
大人だから子どもの言っていることを信じない、大人だから正しい。ではなく、今、目の前に起きていることを受け止め、を必死に乗り越えようとする姿は、大人も子供も変わらない。
ただ、状況に順応するという点では、子供の方が柔軟に対応ができるのは、大人は”経験”という固定概念に固められて生きているからだろう。
しかし、瑤子先生は子供たちの言葉に、ちゃんと耳を傾け子供たち、また不思議な世界に”ちゃんと”向き合った。
今ある環境を、自分たちがいかに良くしていくか、環境は自分たちで作っていくものだ、というところも教えてくれる作品であったと思う。
自分たちでは不可抗力かと思われる環境の中でも、いくらか快適に過ごそうとする努力や、襲い掛かってくるお化けや試練に立ち向かう姿勢からも、学ぶことは多い。
(私としては、瑤子先生の前職にも大いに沸いた訳だけども、、、、それは、ぜひ映画で確認してみて!)
子供はこれから大人になっていく存在だから、学び成長をしていくのだという事は、予め予想はできる。
しかし、この映画の素晴らしいところは、『子供に影響を与えられた大人も成長していく』ところが描かれているところだ。
どんなプロセスで、どう成長していったのかは、本編を観て感じて欲しい。
成長するのは、子供だけでもなければ、身長や体重といった身体的なことばかりでもないのだ。
一番成長していくのは、子供も大人も関係なく『心』であるという事を教えてくれる。
この映画は、大人が観て単に、子供時代を懐かしむに留まる作品ではない。
大切なことは何か、を思い出させてくれる作品であることに間違いない。
監督は山崎貴さん
『ゴーストブック おばけずかん』の監督さんは、山崎貴さん。
山崎監督の作品は『ALWAYS 三丁目の夕日』『DESTINY鎌倉ものがたり』『寄生獣』などの数々の作品を撮られている監督さんです。
(※たくさんあるので、私の趣味の映画を上げさせていただきました。)
『STAND BY ME ドラえもん』も山崎監督の映画で、山崎監督はなつかしさと、胸の奥がギュっとする情景の描き方がとても巧みな方だなと思います。
ゴーストブックは、大人にとってはどこか懐かしさを感じるノスタルジーさもありながら、令和ならではの新しさもたくさんあり、映像美も素敵な作品でした。
星野源さん『異世界混合大舞踏会』
星野源さんのキャッチ―なテーマソングも非常に魅力的で、娘も映画を観てからずーっとゴキゲンで鼻歌を歌っている。
よほど楽しかったのだろう、娘があんまり浸っているので、一緒に曲を聞いてみると、劇場では気が付かなかったが
「おばけはいるぞ だけど生きた人よりは怖くないぞ」というフレーズがあることに気が付き。。
なんと大事な教えだろうか、、、と、すっかり感心してしまった。
子供たちにとって、「生きた人間の方が怖い」という事は、なかなか感じにくいかもしれないが、世の中大人の方が間違ったことをしている事の方が多かったり、学校や家庭でしてはいけないと言われたことを、平気で大人が破っているのを見ることもある。
常識が通じない大人もいるし、一般論としてのセオリーの認識が違う人もいる。
そうした大人たちがたくさんいる社会に、成長した子供たちも将来来るわけで。。
映画も曲も、ただ「面白い映画だった、良い曲だった」で終わらない凄みを感じる作品であることは間違いない。
この夏、ぜひ劇場で観て欲しい。
最後にね、神木隆之介さん扮する店主が”図鑑坊”にあるセリフを言うのですが。。
私はこれ、二つ意味があるのかなー。って思ってます。(これを話しちゃうと、ネタバレにもなっちゃいますので、いずれ、、、)