～不思議を集めるお店～『魔宇魅堂』の実話怪談「予知夢だったのか？」

このお話は、ある男性から伺ったお話しで、その男性のご友人のお話だそうです。

関西にお住いだったOさんという方のお話です。

1995年当時、小学生だったOさんは阪神淡路大震災の被災者でした。

大変な被害の中、家族で救助されたのはOさん一人だけ。

Oさんは小学校の体育館に避難し、震災で亡くしてしまった両親と弟を想って、泣いて泣いて、すっかり憔悴していたそうです。

弟にあんなこと言わなければ、お母さんにもっと素直に甘えてれば、お父さんともっと話したかった、、

と、いろんな思いがよぎり、なかなか寝付けない日々を過ごしていたそうです。

そんなある日、ふと気が付くと、一緒に避難生活をしていた人たちが、周りからいなくなっていたそうです。

体育館にはOさん一人きり。

昼間だったので、みんな外にいるのだろうか？と、外を確かめに出てみました。

しかし、校庭にも誰もいません。

それどころか、人の気配がありません。

不思議に思って、学校の正門のところまで行くと、、、

がれきにまみれていたはずの道が、さっぱりときれいになっており、もうこんなにきれいになったのか！と思い、

それなら、家に行ってみよう。と思い立って、急いで荷物を取りに体育館へ戻って、荷物を持つとOさんは自分の家へと急ぎました。

家へ帰る道すがら、商店街を抜けていくのですが、

不可解なことに、そこにも誰もいません。

みんなどこへいったのでしょうか。。

喉が渇いたので、コンビニに寄ったのですが、お客さんどころか、店員さんもいません。

ただ、お店の灯は煌々とついていましたし、自動ドアも動いていました。

店員さんがいないのでは仕方がないので、ジュースの代金と、これを買いましたとメモを残し、ジュースをもってお店を出ました。

家へ続く道も、どこも倒壊しておらず、きれいな街並みでした。

そして、、いざ家へ着くと。。。

家も倒壊どころか、塀もどこもかしこも壊れているところはなく、きれいな家のままでした。

ふと気が付くと、家の中の電気がついています。

急いで家に入るOさん。

はやる気持ちを抑えながら、ダイニングへ続くドアを開けると。。

そこには、

ダイニングテーブルを囲む家族の姿がありました。

お父さん、お母さん、そして弟。

あんなに生意気な弟も、とにかく会えて嬉しい。。。

Oさんはしばらく言葉が出ず、ただ涙を流して立ち尽くしてしまったそうです。

それを見ていた家族は驚いて「どうしたのか？」と心配そうな顔をして聞いてきます。

Oさんは、泣きながら家族に「怪我はないのか？大丈夫だったのか？」と聞きますと、

両親も弟も、いぶかしげな顔をし、そろって「何言ってるの？」と返されます。

お母さんが「座りなさい。夕飯にするよ。」

といって、久しぶりに家族そろっての食事をしました。

食事後、家族のだんらんの時間。幸せをかみしめるような時間だったそうです。

そして、テレビを見ていたOさん、日付に気が付きハッとしたのだそうです。

テレビのキャスターが「1月16日のニュースです。」と言ったのを耳にして心臓がドックンドックンと大きく波打ったと言います。

勘の良い方はお気づきかもしれませんね。

そうです。阪神淡路大震災が起きたのは　”1月17日の午前5時46分”　

Oさんは慌てて、家族みんなに、これから大きな地震が来ることを話し、避難する用意をする説得をしました。

家族は、はじめOさんの言ってることを「何を言っているの」と取り合おうとしませんでした。

でも、あまりにもＯさんが真剣に訴えるので、避難する準備を整え、寝ずにその時間を待ったそうです。

時刻は刻々と近づいてきます。

何もなく過ぎてくれ！とOさんは願ったそうですが、1月17日午前5時46分、Oさんの言った通り、体験したことのない大きな地震が来ました。

ですが、Oさんの必死の訴えのおかげで、Oさんの家族はそろって無事に非難することができたとおっしゃっていました。

私は、長い夢を見ていたのでしょうか。。とOさんおっしゃっていましたが、一人で目を腫らせて過ごした避難生活も、

家に帰る途中で寄ったコンビニも、買ったジュースも、間違いなく本当だったというのです。

Oさんは、夢を見ていたのでしょうか、、それとも、、、