~不思議を集めるお店~『魔宇魅堂』の実話怪談「隣の個室」
不思議なお話を集めている『魔宇魅堂』へようこそ。
夏休みを堪能している皆さん。いかがお過ごしでしょうか。
さて、魔宇魅堂は、気まぐれに開店する不思議な不思議なお店。
ちょっと涼んでいらしてね。
今日も、ちょっと不思議なお話をお聞きいただきましょう。
隣の個室
今日も一つ、不思議なお話にお付き合いください。
今日は、お手洗いにまつわる、こんなお話です。
このお話を聞かせてくれたのはある男性でした。仮に、Iさんと呼ばせて頂きます。
Iさんは飲み歩くのが好きで、その日も、町にくり出して飲み歩いていたのだそうです。
Iさんのお気に入りのお店は、とある町にある、○○横丁と呼ばれる場所にある、馴染みのお店でした。
いつものように、顔なじみになった他の常連客と話に花を咲かせながら飲んでいたIさん。
お酒もずいぶんと進んでいたようで、いくらか時間が過ぎると、お手洗いに行きたくなった。
「ちょっと、お手洗い。」
「あはは! Iさん、吐くんじゃないよ~」
「吐かないよ!全然酔ってないんだから!」
と、やり取りをしながら、お店を出て、公衆のお手洗いへと向かう。
公衆のお手洗いで、個室はたった2つしかありません。
今日は、両方ともしまっていたのでしばらく待っていました。
すると、左の個室から、なかなかの酔いが回っているであろう男性が出てきて、
「あ!どうもね!」なんて言いながら出ていきました。
Iさんは、左の個室に入り用を足していると、、、、
隣の個室から”コン、コン”と、壁を叩く音が聞こえました。
おや?紙でもなくなっただろうか?とIさんは、隣に向かって「どうされました?」と声を掛けました。
「・・・・・」
返事は、ありませんでした。
「紙無くなりました?」とIさんが聞きますが、返事はない。
しかし、またしばらくすると。。。
”コン、コン”と壁を叩く音が聞こえます。
変な人が入っていて、いちゃもんを付けられたら嫌だなと思って、Iさんは早々に、お手洗いを後にしました。
お店に戻っても、妙に酔いが覚めてしまったIさんは、
「ちょっと今日は、先に帰るわ。お勘定お願い!」と、お会計を済ませて帰ったそうです。
その日はもう何事もなく、家に帰ったIさんは、そのまま眠りについたそうです。
翌日、前日のお手洗いのことなど、すっかり忘れていたIさんは、また横丁の馴染みのお店へと顔を出しました。
すると、おかみさんから
「ちょっと!Iさん、昨日お手洗いに行った時に、何もなかった?」
と、妙なことを聞かれました。
「え?何もって、、何が、、、?」
そういえば、と、Iさん用を足している時に、壁をコンコンと叩かれたと、おかみさんに話すと、、、
「変ねぇ。」とおかみさん。
「だから、なにが?」と、Iさんが急かす様に聞き返すと。。
話を聞くと、昨夜お手洗いの右の個室で、男性が亡くなっていたのだと言うのです。
なんとも、驚いたIさん。
「え!!!じゃあ、俺が行った時にちゃんと声をかけてれば、、、」と、後悔をしたIさんでしたが、、、
続けておかみさんが、
「いいえ。どうやらIさんがお手洗いに行かれた時刻には、もうダメだったみたいなの」と言う。
だとすれば、、、Iさんが隣の個室から聞いたという”コン、コン”という音は、なんだったのでしょう。
Iさんがお手洗いに入った際には、既にこと切れていたという男性。動くはずのないところから聞こえた音は、、、
「ここにいるよ」と、気がついてほしかったのでしょうか、、、
特別企画【~不思議を集めるつ店~魔宇魅堂】
~不思議を集めるお店~魔宇魅堂は、不思議な不思議なお店。
気まぐれに現れて、不思議なお話で皆さんをおもてなしします。
不思議な世界で、不思議な時間をお過ごしくださいませ。
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魔宇魅堂:info@maumee-life.com